高校生向け起業体験プログラム

スタートアップ・ユースキャンプ ワークショップ

スタートアップユースキャンプ

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活動レポート

参加者インタビュー 2025.03.04

【アフタートーク】参加者インタビューvol.6

2024年の7月から8月にかけて実施したスタートアップ・ユースキャンプ(以下、SYC)終了後、継続的に活動している今年度の修了生に、現在の活動状況やSYCでの学びなどについてインタビューを行いました。


今回お話を伺ったのは、兵藤妃玖(きく)さん(名古屋女子大学高等学校1年)です。



Q,  SYC終了後の活動について教えてください。

◆ SYCメンバーとハッカソン参加、起業の楽しさを広める普及活動に参画

きく:SYC修了後も、Module02で一緒だったメンバーの1人と活動を継続しています。12月に参加したハッカソンで出会った2人も加えて、現在は新たなアイデアに取り組んでいます。



今進めているのは、大学の教室や交流会などたくさんの人が集まる場所で、その場にいる人が人と会話したいか、したくないかをマップ上に可視化するアプリの開発です。アプリ上で、「話しかけて(笑顔マーク)」または「そっとしておいて(真顔マーク)」をボタンで選んで意思表示することができます。

起業体験イベントでピッチをするきくさん

きく:起業に向けて自分の取り組みを継続するのと同時に、この楽しさを伝えるために、東海圏の小中高生に向けた普及啓発活動も始めました。ナゴヤイノベーターズガレージ(以下、ガレージ)の公式高校生アンバサダーに就任して、ガレージでイベントを運営したり、学校に出張して登壇したりしています。起業って面白い、将来の選択肢の一つになるという考えをもっと当たり前にしていくことを目指しています。



きっかけは、先輩アンバサダーに、「起業に興味があるなら、イベントの手伝いもしてみない?」と誘われたのが最初でした。その後、自分たちでもガレージを使ってハロウィンイベントを企画しました。100人以上が参加するほど盛り上がり、それをきっかけに高校生アンバサダーに就任しました。今9人のチームで活動しています。私は広報を担当していて、Instagramにストーリーを載せたりしています。



ガレージ・ワンが企画するイベントは、参加者のステップに合わせてレベルを3段階で構成しています。

①起業ってどんなことをするのか分からない、足を踏み入れていいか躊躇している人に向けた「はじめの一歩」の位置付けのイベント、②はじめの一歩を踏み出したけれど、どう行動していいか分からずに迷っている人に向けたイベント、③そして実際に実践することを目的にしたイベントの3ステップです。ワークショップをメインに楽しさを伝えています。

中には継続してステップアップしているリピーターもいます。参加した同世代や年下の子たちが楽しんでいる様子を知ったり、顔馴染みになっていくのがとても嬉しいです。



Q, SYCではどんな学びがありましたか? その学びはどのように今に活きていますか?SYCでどんな学びがありましたか? その学びはどのように今に活きていますか?

◆ 初めてイベントを企画する経験。失敗からの学び

きく:Module01で小中高生向けの夏祭りイベントを企画したのですが、当日あまり人が集まらず、集客の難しさと大切さを痛感しました。それまでイベントを実施した経験がなく、呼べば人が来るとイベントを甘く見ていたことを反省しました。チラシを作って街頭で配り、優しい人が受け取ってくれましたが、ターゲットではなかったり、実際に足を運んでもらうことは難しかったです。

課題に直面しながらも、2週間の期間中、毎日深夜まで皆でミーティングするなど、準備はとても楽しかったです。

Module 01の発表で集客の結果を振り返るきくさんのチーム

◆ アイデアを試作して表現する経験

きく:Module02のチームでは、最後まで使い切れるリップのアイデアを考えました。リップって、最後まで使っても奥に少し残っていますよね。深さを測ってみたら、1本あたり1.5cmも廃棄していることが分かりました。



このもったいなさを解消してコストを下げ、いろいろな色を使いたいというユーザーのニーズに応えられないかと思い、いろいろな試作を作りました。ノック式消しゴムの原理を使えないか、ロケット鉛筆のようにできないか、磁石で繋げられないかなどの試行錯誤を経て、最終的にはオブラートでリップを包み、水に濡らすとオブラートが溶けて中身を使えるようになるプロトタイプに至りました。最終プレゼンでは会場の皆に実物を見せながら発表しました。

Module02の発表で試作品を見せながら発表するきくさん

◆ 固定概念を破って挑戦の機会をつくり、掴み取る経験

きく:Module02の発表の結果では悔しい思いをしましたが、それをバネに聴衆にハングリー精神をぶつける経験をしました。

私たちのチームは発表がトップバッターでした。試作も作って自信があったのですが賞を勝ち取ることができませんでした。私が「悔しい…」と思っている中、メンバーの一人が、なぜ自分たちが勝てなかったのか、理由の分析を行って話してくれました。

私たちのチームへのフィードバックは、「プレゼンがかしこまっていた」という評価でした。アイデアを否定されたわけではなかったので、勝てなかったことが余計悔しくなりました。発表はメンバーでパートごとに分担して話したのですが、その中で一番元気よく発表していたのが私だったので、「きくに全部プレゼンしてもらえばよかった」という声がメンバー内で上がりました。



次第に「だったら、やればいいんじゃない?」という思いが湧いてきました。メンバーの全員が結果に納得がいっていなくて悔しがっている。でも、悔しいで終わりたくない。「悔しい。だからこそもう一回やろう!」と、この気持ちをバネに、もう一回、プログラムの最終日に皆の前でピッチをしました。



私自身は、ルールやプログラムの予定にないことをやることに対して、もともとは躊躇するタイプでした。でも、もっくん(元木一喜講師)が「SYCでは、ルールがないのがルールだから」と言っていたのを覚えていたメンバーがいて、「もう一回やりたいって言ったっていいはず」発案してくれました。その子の提案に、自分もいいなと思い、挑戦に乗りました。

気づいたら、ルールとか関係なく自分たちの道を自分たちで切り拓くタイプになっていました。

最終日の振り返りでチームメンバーと達成感を分かち合うきくさん


Q, そもそも、SYCに参加したきっかけは何でしたか?

きく:学校でチラシが配られて知りました。いろいろな人がグループワークをしている写真が載っていて、人と話すことや、誰かと一緒にやることができそうで楽しそう! と思って申し込みました。

SYCに応募したのは夏休み前……、その頃は高校に入学して軽音楽部に入るなど、少しずつ新しい挑戦をし始めた時期でした。中高一貫の学校に通っていて、クラスメイトも3分の2が去年と同じで大きな環境の変化がなかったのですが、中学の頃と違うことをしたいと思っていました。

DAY01、真剣な面持ちで説明を聞くきくさん

Q, 今後の目標や展望を教えてください。

きく:ガレージ・ワンでもっと大規模なイベントを実施できるようになりたいと思います。今は30人規模のイベントが多いのですが、ハロウィンのときのように100名規模のイベントもたくさんできるようになりたいです。そうすれば、影響の範囲も広がって、起業という選択肢や楽しさを知ってくれる人が増えると思うからです。ガレージ・ワンの仲間と同じ目標に向かって頑張るのが楽しいので、ガレージ・ワンの皆で成し遂げたいと思っています。

他には人生の目標として、今後もし起業への関心が薄れて、違うものに関心をもったとしても、今起業に注いでいるのと同じくらいの気持ちや熱量を、新しいやりたいことに注いげたらいいなと思っています。

起業しようと取り組むことを通して、いいことも辛いことも経験しました。でも、何よりも挑戦する楽しさを知ることができたので、これからも挑戦し続けたいなと思います。


振り返れば、SYCの前は行動力のかけらもなかったです。SYCもガレージもハッカソンも、周りの人は優しくて、やりたいことを受け止めてくれる環境でした。「これやりたい」という気持ちを否定するのではなくて、「好きなことやったらいいよ」と受け入れて応援してくれるので、やりたいという自分の気持ちを素直に打ち明けられるようになりました。

そんな環境のおかげか、最近はやりたいと思ったら躊躇せずに行動するという意識がとても高まっています。行動するのは楽しいと思うので、やりたいときに躊躇せず行動したいと思います。

ガレージ・ワンの仲間

「行動力のかけらもなかった」頃を想像できないくらい、お話からパワフルなエネルギーを感じました。

これからも行動し続けるきくを応援していきたいです。きく、ありがとうございました!

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