


活動レポート
【アフタートーク】参加者インタビューvol.5
2024年の7月から8月にかけて実施したスタートアップ・ユースキャンプ(以下、SYC)終了後、継続的に活動している今年度の修了生に、現在の活動状況やSYCでの学びなどについてインタビューを行いました。
今回お話を伺ったのは、田中晴(はる)さん(東邦高等学校1年)と丸本颯志(そし)さん(愛知工業大学名電高等学校1年)です。
Q, SYC終了後、どんな活動をしていますか?
◆ ビジコン、ハッカソン、起業プログラムへの参加
はる:SYC修了後も、チームが同じだった僕とそしの二人で活動を継続することにしました。SYCで考えた企画でビジコンに出場したり、ハッカソンや社会人も参加する起業体験プログラムで新たなアイデアを考えたりしています。
9月に出場したビジコンでは、二次審査(準決勝)のピッチで落ちてしまい、悔しい思いをしました。発表が3分と短い中で、解決策に重点を置きすぎて、課題を伝えるのが不十分だったと反省しています。
そし: ハッカソンや今参加しているプログラムで新たなアイデアに取り組んでいて、賞もいただいています。SYCで考えたアイデアは一旦中断して、手応えのある新アイデアで今は活動を続けています。その一つが、引っ越しの新業態のサービスです。作業員のもらえる報酬を上げ、利用するお客さんの負担を減らし、引っ越し作業の質を上げながら人手不足を解消するアイデアを考えています。
はる:中学生から社会人まで100人くらいが集まる起業体験プログラム「STARTUP Dragon-Gate」で、週末2.5日間、アイデアを持ち寄ってブラッシュアップしました。このあと、1ヶ月半の実践・実証期間を経て最終プレゼンに臨みます。

Q, SYCでどんな学びがありましたか? その学びはどのように今に活きていますか?
◆ 困難に直面しても前に進める自信
はる:学校生活や交友関係で、難しいことに直面しても、「いや、前にやった〇〇の方が難しかったから、これくらいならいけるだろう」と思うことができ、自分に自信を持つことができたと思います。
◆ チームメンバーを信頼して協働する経験
はる:僕は小学校や中学校で学級委員をやっていたのですが、そのときは一人で突っ走りがちで、人を頼ることが苦手でした。今回は、メンバーで仕事を分担して準備することができ、皆でやる力強さや仲間の大切さを感じました。なぜ今回それができたのかを考えると、それぞれが的確な意見を出し合うことができて、お互いに信頼し合えたからではないかと思います。

◆ 実践からビジネスの現実を知る経験
そし:学校生活や勉強ではあまり経験しない、ピボット(方向転換)も経験しました。期間が限られている中で、もともとやろうとしていた企画の実施が難しいことが見えてきたときに、期間終了間際のチームミーティングで「白紙に戻そう」という決断をしました。自分たちにできることは何かと、案を改めて100個くらい出し合いました。その中で現実的なものを選びました。
はる:Module02でビジネスアイデアを考える過程で、80人くらいの人に街頭インタビューをした経験も今後も役に立つと思います。
僕たちのチームは、スポーツしたい人同士とスポーツができる施設を繋ぐマッチングサービスがあったら良いのではないかと考えました。
今は、スポーツをしようと思ったら、スポーツする相手を探す、場所を探す、と、探す行程をたくさん踏んでようやくスポーツができます。アプリを使って、eスポーツのように、相手と場所が自動的にマッチングして、実際に会って競技ができる。それを実現するサービスを作りたいと思いました。
街頭インタビューでは、僕たち以外にも本当に新しい人と知り合いたいと思う人はいるのか、一緒にスポーツをすることを求めているのかを探ることを目的に、その人が本当に潜在的に思っていることを聞き出すことに気をつけながら質問を行いました。誘導にならないよう、プログラムの中で習った「事実質問をすること」を意識しました。
その結果、僕たちのアイデアは課題や需要にマッチしているという確信をもちました。特に高校生を中心に若い世代にとって、スポーツはいつも同じ友だちと行うことがほとんどで、知らない人とも気軽に楽しめたらいいと思っていることが分かりました。
そし:発表会前夜には、ピッチのリハーサルを行い、メンターにオンラインで聞いてもらいました。「ここ何を言っているかよく分からない」とか、「こういうところの説明を追加したほうがいいよ」とアドバイスをもらって改善し、当日を迎えました。練習をたくさんしたので、本番も自信を持って自分たちの力を出し尽くせました。

◆ 何から始めて良いか分からない状態から活動のきっかけを掴む
そし:僕にとって、現在も続く起業の活動のきっかけとなったのがSYCでした。参加する前の僕は、起業に興味はあるけれど、自分の周りには学ぶ環境がなかったので、具体的に何をしたらいいのかが分からず、高校に入っても何も活動できていませんでした。
Q, 二人がSYCに参加したきっかけは何でしたか?
そし:中学3年生のときに、知り合いの高校生で起業している人がいて、「かっこいいな」と思い、起業に興味を持っていました。SYCには、夏休み前に学校で配られたチラシを見て参加しました。
はる:もともと起業に興味があって、東海地区の国立5大学による起業家育成プロジェクト、Tongaliのイベントに参加したことがありました。そのときにメールを登録していたので、名古屋市さんからの告知が届いて知りました。「なんか面白そう」と軽い気持ちで申し込みました。
僕は音楽が好きで、もともと学校の軽音部に入りたかったのですが、僕の高校は生徒数が多く、特に軽音部はかなり人気で、入るのに抽選があるんです。それに落ちてしまって、部活に入らず高校生活を送っていました。
何もすることがないな〜と思いながら、1学期をなあなあに過ごしているときにSYCを知り、応募して、気づいたらのめり込んでいました。

Q, 今後の目標や展望を教えてください。
はる:目標は2つあって、1つめは、高校生のうちに起業することです。
「高校生で」にこだわる理由は、シンプルにかっこいいからです(笑) 「学生起業」というと大学生を思い浮かべると思いますが、知れば高校生起業家も実はたくさんいます。大学生になったら起業ではなくて、高校生でも起業できるんだよというのを自分自身も起業することで証明したいです。
目標の2つめは、11月からナゴヤイノベーターズガレージの公式高校生アンバサダー「ガレージ・ワン」に就任したので、高校生アンバサダーとして、起業に関心や関わりをもつ中高生コミュニティをもっと大きくしたいです。ゆくゆくはこのコミュニティから起業家が生まれて、名古屋東海圏を中心にスタートアップをもっと盛り上げるというのが僕の目標です。
ガレージ ワンは、中高生に向けて、起業を当たり前にしていくための普及啓発を行い、社会を変えていこうという高校生チームです。自分たちが起業を目指すだけでなく、起業が広く一般的になるように、仕掛ける側としても楽しみながら頑張りたいと思います。
そし:僕も同じです。高校生のうちに起業するのが目標で、起業がゴールではなくて、そこをスタートに継続していきたいです。
僕は、このスタートアップ界隈の世界に足を踏み入れて楽しいし、すごく有意義な時間を過ごしていると感じます。なので、興味があるけど活動する場やきっかけがない高校生にそういった場やきっかけを提供して、自分たちのコミュニティからも起業家を輩出できるようにしたいです。
僕が高校生起業にこだわるのは、「かっこいい」のももちろんですし、親元から早く離れて自立したいとか、自分がやりたいことを仕事にしたいとか、そういう目的もあります。
はる:起業に必ずしもこだわる必要はないと思いますが、好きなことをしてお金を稼ぐことの一番の近道だと思うし、起業を一度本気で考えてみる中で学ぶことは、今後どこでも活用できると思います。
そし:中学の時の僕は勉強しか頑張っていなかったのですが、今は起業が生活のメインとなっています。それが楽しいし、大きな意義を感じています。何もしていないより動いている方が楽しいし、自分がいい方向に進んでいると思うことができています。
行動をしなければ失敗もしないから後悔しないので、そのもったいなさに気づけません。行動をしてみて思うのは、「もし過去の自分が一歩踏み出していなかったら、こんな環境にも出会えていないし、この人とも出会えていなかったんだ!」ということです。そう思うと、行動しないことがむしろ怖くなります。
僕にとっては、SYCに参加することも、ガレージを利用することも、ビジコンやハッカソンに参加することも、全ての行動をした後に振り返ってみて、行動したおかげでこんなにいいことがあり、新しい出会いや成長があったなと感じます。
最初は少し大変かもしれないけれど、絶対「やる」という選択を選んだ方がいい!と、自信をもって同世代や下の世代の子たちに発信していきたいです。

そし・はる二人とも、たくさんの機会に前向きに挑戦する中で、素敵な出会いにも恵まれ、自信をもって自分の道を歩む姿勢が印象的です。
今後の活躍が楽しみですね! そし・はる、ありがとうございました!